「分離断絶から統合融合の時代へ」 ~年頭にあたり~ これまで多くの企業は、特許や知的財産権などで技術を保護し、クローズすることによって、その富を獲得してきました。しかし今は、それとは逆に、積極的に技術をオープンにし、ユーザーと共に製品をより良いものにしていこうという動きが見られるようになってきています。 最も典型的な例はアップルのスマートフォンです。アップルの魅力は、その製品の機能や性能、デザインが素晴らしいことだけではありません。そもそも、そうした携帯電話は既に市場に存在していました。アップルがそれと決定的に異なるのは、「ユーザーに開発環境を解放し、ビジネスチャンスを与えた」という点です。つまりアップルは、ユーザーに製品を一方的に提供するのではなく、ユーザーは共に製品をよりよくしていく「パートナー」であるという姿勢をみせたのです。このことによって、従来とは比較にならないほど爆発的なスピードで製品は進化を遂げました。 アップルがユーザーとの関係性をパートナーとしたのと同様に、大企業と中小企業、あるいは、経営層と労働者層の関係においても同様の現象が見られるようになってきました。彼らは規模や業態、部門、立場を超え、パートナーシップを組むことによって革新的なものを生み出そうとしています。つまりこれは、役割はそれぞれ異なっていても、「パートナーになって世の中をよりよくしていこう」という動きなのです。 しかしこうした動きは、新たな時代の序章に過ぎません。時代は今、人々を分離させていたあらゆる境界線を薄れさせ、人類全体を一つの共存体へと統合させようとしています。私たちは今、その大きな歴史的転換点に立っているのです。これからはもう、他者犠牲の上に築かれる豊かさは意味をなさないでしょう。すでに日本の若者たちは、私利私欲から離れ、より大きなもののために自分の命を使いたいという願いを持っています。そうした時代に求められる企業や国のあり方とは何でしょうか。それは自社とか自国を出発点とした考え方をするのではなく、人類全体を出発点とした考え方を持つということではないでしょうか。私たちオリジナルマインドも、小さな会社でありながら、その出発点、もっと言えば、究極のひとつを意識した経営を心掛けてゆきたいと思っています。