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「なぜ」を語る経営理念

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私は昨年から、同友会というところで、「経営理念をつくる会」のメンター役を務めています。メンターを務めるほどの立派な経営者ではありませんが、それでも28年の経営経験があるので、少しでもお役に立てればと思っています。 経営理念をつくる際に、私は参加者のみなさんに、特に大切にしてほしいと願っていることがあります。それは、「なにをやるのか」よりも、「なぜやるのか」に焦点を当ててほしいということです。 「なにをやるのか」は、具体的にどのような仕事をするかを指し、「なぜやるのか」は、その仕事の根本的な社会的使命を指します。私は、この地球上に住むすべての人々の共通の目的は、人類社会全体への貢献だと思っています。それを自分の得意なことを通して果たしていく。それが私たち人間に与えられた本来の使命だと思っています。 そして、その使命感は、誰もが心の奥底で持っているものであり、だからこそ、それを想起させる理念に出会ったとき、人は共感したり感動したりするのだと思います。 ここで、「なにをやるのか」と「なぜやるのか」を人に説明したとき、相手がどう感じるのかを観察してみてほしいと思います。きっと多くの人は、「なにをやるのか」を聞いても、それは「頭で理解した」という程度にとどまると思います。でも、「なぜやるのか」を聞くと、それは頭での理解を超えて、「胸に響いた」とか「腹に落ちた」というように、もっと深いところで感じていることがわかります。つまり、前者は単なる「理解」であり、後者は「共感」に繋がるものなのです。 経営理念で「なぜやるのか」を語ることは当たり前のことと思うかもしれません。しかし、私も含めて多くの経営者は、日々の忙しさから、「なにをやるのか」をばかりを語ってしまいがちです。しかし、それでは仕事が単なる「労働」であり、生活のためにやるものという印象を与えてしまいます。でも、「なぜやるのか」を語れば、大きな意義を感じ、社員もその仕事に誇りを持つことができるでしょう。人は誰でも、より大きなもののために自分の命を使いたいと思っているからです。 私の会社は道具を販売している会社ではありますが、自社のことを単なる「道具屋」とは思っていません。私たちが目指すのは、技術者たちの創造性を刺激し、世界に新たな価値を生み出すお手伝いをすることです。それが、私たちの社会的な使命であり、人類社会の進化に貢献する

ありがとうを伝えられたなら

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20代のころ、私は小さな会社で働いていた。社員が少ない分、いつも社長のそばで仕事ができた。先日、その社長が2年ほど前に亡くなったことを知り、今日はご自宅を訪ねてお線香をあげさせていただいた。社長の写真を見ながら、奥様と当時の思い出話をたくさんした。社長には本当にいろんなことを教わったなあ。 小さな会社だったからこそ、社長がどのように経営に向き合っていたかを間近で見ることができた。経営とはどうあるべきか、人とどう接すべきか。教わったことは数えきれない。それが今の自分にどんだけ役立っているか。改めて思い知る。 この歳になると、若い頃にお世話になった人がご高齢になっていることが多い。そして、気がついたときには、もうその人はいないこともある。社長もその一人だった。生きているうちに、もっと感謝の気持ちを伝えられたらよかったのに。思い出すたびに、心の中で悔やんでいる。 人はいつか去る。だからこそ、生きているうちに、感謝の気持ちを伝えなければいけない。いつかではなく、今だ。その大切さを今日あらためて感じた。 (写真は社長のご自宅近くからの景色)