誹謗中傷を防ぐ仕組み
最近、誹謗中傷に関する話題をよく目にしますね。
先日知ったのですが、ヤフーニュースでは、毎日2万件もの誹謗中傷コメントを削除しているのだそうです。
一方、同じニュースサイトでも、「NewsPicks」というサイトでは、私が知る限り、誹謗中傷コメントを見かけたことがありません。
NewsPickではどのようにして誹謗中傷を防いでいるのでしょうか。自分なりに考えてみました。
まず、NewsPicksには「プロピッカー」といって、編集部が選んだ公式コメンテーターがいます。そのプロピッカーたちは、経営戦略や法律、語学などさまざまな分野の専門家です。
プロピッカーたちは、自身の実名や所属団体、顔写真、経歴までも公表していますので、自分の名誉にかけて有益な情報を読者に提供しようという気持ちが自然に生まれます。
そして、NewsPickでは、そのプロピッカーが書き込んだコメントを優先的に上位に表示される仕組みにしています。
このため多くのユーザーは、専門家である彼らのコメントを必然的に目にするようになり、そのコメントに引っ張られて、自分も質の高いコメントを残そうという気持ちが自然に生まれます。
「割れ窓の理論」というのを知っている人は多いのではないでしょうか。「どうせまた割られるだろう」と修理せずに放置しておくと、割れ窓がどんどん増えていき、やがて犯罪まで起きるようになります。でも放置せずに徹底的に修理をしていくと、自然に割れ窓が減っていく。街もだんだんに綺麗になり、犯罪も減っていきます。
それと同じで、専門家による有益な情報が常に上位にあると、それを見たユーザーも自然に正されていき、誹謗中傷も発生しなくなるのだと思います。
もし、上位に表示されるコメントを、専門家のコメントではなく、「いいね!」が多いコメントを上位に表示させるようにしてしまっていたら、どうなっていたでしょうか。
おそらく、コメントの内容が正しい情報でなかったり、下品な内容だったとしても、刺激的であったり面白かったりすれば上位に表示されてしまいますので、誹謗中傷コメントを誘発してしまうことになるでしょう。ヤフーニュースで誹謗中傷コメントが多いのは、それが原因になっているのだと思います。
つまり、質の高いコメントが上位にあれば、そのあとに続くコメントの自然に質の良いものになっていくし、質の低いコメントが上位にあれば、そのあとに続くコメントも自然に質の低いコメントになり、誹謗中傷を誘発してしまうのではないかということです。
ところで、NewsPicksでは、プロピッカーに専門家以外の人を採用することはないようです。なので、一般ユーザーがどんなに優れたコメントをしたとしても、専門家でない限りプロピッカーに選ばれることはありません。
それは熱心にコメントを書き込んでいるユーザーにとっては残念なことです。どんなに優れたコメントを書き込んでも、あっという間に下のほうに流れていってしまい、人の目に触れられなくなってしまうわけですから。
でも、NewsPicks社の立場になって考えると、誹謗中傷を防ぐ上ではとても大切なことなのだと思います。
プロピッカーを専門家に限定し、そのコメントを上位に表示させることで、自然に有益な情報が集まるサイトにすることができる。それが誹謗中傷を防ぐことに繋がっているのだと私は思います。
また、このことは会社の組織風土を良くしていく上でも同じことが言えるのだと思います。たとえば社内が整理整頓されていなかったり清潔でなかったりして働く環境が悪いと、組織風土も悪くなっていってしまうし、環境が良ければ自然と組織風土も良くなっていく。一見気が付きにくいことではありますが、とても重要なことなのだと思います。