ものづくりの楽しさとは何か?

当社は今年もMaker Faire Tokyo 2015に出展させて頂きました。私は自社ブースを社員に任せて、他ブースの見学をさせて頂いたのですが、そのときに「ものづくりの楽しさとは何か?」を改めて考えさせられる場面がありました。それは、半田ごてやニッパなどが不要な開発ツールを見たときです。プログラミングや配線までも簡単なのですが、どうしても私はそれを見てワクワクしないのです。

思うに、私にとって「ものづくり」というのは、目的を達成すればそれで良いというものではなく、つくることそのものに意味があるからです。こう感じているのは、たぶん私だけではなく、特にこの会場に足を運んでいるメイカーズと呼ばれる人たちの中には、そういう人がけっこういるのではないでしょうか。 

組織論で言われていることなのですが、人というのは実力よりも簡単な目標を与えられると退屈と感じ、逆に実力よりも高すぎる目標を与えられると諦めてしまうと言います。でも、背伸びすれば届きそうな目標であれば、やる気が旺盛になる。これはスポーツではフローゾーンと呼ばれ、その領域においては人は最も夢中になることができます。

ものづくりにおいても同様で、「誰でも簡単にできる」というのは、かえってワクワク感がなく、「誰でも簡単にはできないけど、頑張ればできそう!」と思わせてくれるようなものに人はワクワクするような気がします。そして、そういった過程を経た上で何かを完成させると、人は大きな達成感を得られるのではないでしょうか。私はこれも「ものづくりの楽しさ」の一つであり、この達成感によって一流の技術者へと成長していく人も多いのではないかと思うのです。 

私が起業時に「秋月電子のような会社をつくろう」と思った理由は、そういう人の心をくすぐる商品がたくさんあったからです。当社の経営理念である「ものづくりの楽しさと夢を提供します」を具現化していくためにも、そういった「人の心をくすぐる商品」を提供していきたいと改めて思ったのでした。

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