スキップしてメイン コンテンツに移動

悟りに向かう人類

最近、人類が悟りに向かっているということを実感している。

たとえば、昨年は「サピエンス全史」という本が人気になった。そこには、人類が地球上の覇者になれた理由は「フィクションを信じる力」であったと書かれている。国家、会社、お金、法律、それらは実在するものではなくフィクションなのに、人類はそれを実在するかのように信じる力があり、そのことによって集団で大きな力を発揮することができたという。

お金が実在しないことはもう多くの人が知っていると思う。ニクソンショックによってゴールドの裏付けがなくなったことに始まり、クレカや電子マネーの誕生、そして最近では仮想通貨の誕生を通じて、多くの人はお金が実在しないことを理解している。

国家が実在しないことも、よく考えればわかることだ。国家とは何かと言えば、国民、首相、地域、土地というように、それを構成しているたくさんの要素を挙げることができる。しかし、どれもが流動的で、何一つとして普遍的なものはない。長いスパンで見れば、街並みは変化するし、国境が引き直されすることもあるし、すべての構成員は入れ替わるからだ。それでも私たちが確かに実在すると感じるのは、それぞれの要素が連携してネットワークを形成し、一つの共同体を作っているからだ。

国家だけではなくて、会社や経済も実在しないし、私たち人間でさえ実在しない。それらを構成している要素は、どれも流動的で何一つとして普遍的ではない。でも実在すると感じるのは、無数の個が連携して一つの共同体を作っているからだ。

それぞれの個はあまり高度なことができなくても、それが集まり連携すると、信じがたいほどに高度なことができるようになる。たとえば細胞一つ一つには感情がないのに、それが60兆集まった人間には感情があるように。

こうした無数の個が連携して一つの共同体をつくる現象は「創発」と呼ばれている。そしてそれは、入れ子のような構造をしている。宇宙の中に銀河があり、銀河の中に太陽系があり、太陽系の中に地球があり、地球の中に社会があり、社会の中に人間があるというように。

私たちはそれぞれに名前をつけているから別々のものだと認識しているが、実は同じ「ひとつ」のものだ。宇宙と人間は違うものではない。そしてその「ひとつ」こそが唯一実在するものなのである。

その創発には、無から有を生み出す仕組みが隠されている。もともと宇宙には何もなかった。そこから銀河が生まれ太陽が生まれ地球が生まれ人間が生まれた。この宇宙は無から有が生まれる歴史の蓄積なのだ。

私は、人類が高度に進化した人工知能と向き合うことで、その仕組みを悟る日が近づいていると思ってる。実際、この「サピエンス全史」という本は、人工知能が進化していく中で、意識的にせよ無意識的にせよ「人間とは何か」「意識とは何か」というような根源的な問いに突き当たり、その結果として必然的に誕生したのだと解釈している。

138億年かけてこの宇宙を成長させてきたその仕組み。私たちの経済や組織、会社などは、この仕組みに沿っていれば成功しやすいし、かけ離れていれば失敗しやすい。だから、その仕組みを知り、応用していくことが大切だと私は思う。

いま、私たちの社会では、あらゆる組織が中央集権型から分散型になってきており、情報もモノも画一的ではなく個別に提供するようになってきている。だから一見、私たちの社会は分散の方向に向かっているように見えるかも知れない。だが実際はその逆だ。自立した個がそれぞれに個性を活かしながら連帯する「統合」の方向へと向かっているのだ。

そしてその自立した個たちは皆、ビジョンを求めている。そのビジョンは、これまでのような個の利益の最大化させようとするものではない。社会全体にとって利益があり、誰もが共感できる共通のビジョンを求めているのだ。だからこそ、社会的意義のあるビジョンを持つ企業は人を惹きつけることができる。

その人類共通のビジョン、すなわち、サピエンス全史の言葉を借りれば「新たなフィクション」を掲げることで、人類は一つの生命体のように活動し、集団で大きな力を発揮して「創発」が起き、新たな社会が誕生する。なんとエキサイティングな時代なのだろう!そのトリガーとなるのは、AIやVR、AR、BMIといったテクノロジーの進化ではないか。そんな希望を抱かずにはいられない。

環境破壊、人間性破壊、戦争、紛争、こうした問題に対処していくには、もう国とか民族というような境界線は意味をなさない。人類が一丸となって平和で幸福な社会を目指す時が来ているのだ。


このブログの人気の投稿

鋳造ワークショップ@TechShop Tokyo に参加してきました

先日、TechShop Tokyoで開催された「鋳造ワークショップ~オリジナルiPhoneスタンド~」に参加してきました。材料は錫(すず)という金属をつかいました。柔らかくて手になじみ、どこか温もりを感じさせる不思議な金属です。木型は、薄い木の板を6枚ぐらい積み重ねたもので、それぞれの板はレーザーで加工してありました。つまり、二次元加工した板を何枚も積み重ねることで、三次元形状を作る方式になっています。型の設計は難しいかもしれませんが、レーザー加工で型が作れるというのは、夢がひろがりますね。